研究概要 |
I 金属イオンメディエータによるアルキルベンゼンの酸化によるアルデヒド生成 硫酸中でCe(IV)メディエータ(Ce(IV)/H_2SO_4)を用いると,p-メチルアニソールの酸化によりp-アニスアルデヒドが高収率で得られた。また、Ce(IV)/H_2SO_4よりも酸性水溶液中でのカソードピーク電位(Ered)が高いCe(IV)/HClO_4は、アセトニトリル溶液中での見かけの酸化電位(Es,ox)がより高いp-キシレンからp-トルアルデヒドの生成に対して高い効率を示した。その他のメディエータと基質についても検討した結果、芳香族アルデヒド生成における収率と反応選択性はEs,oxとEredの電位的な相互関係によってほぼ決定づけられることがわかった。 II 有機溶媒中におけるフラビン類縁体のメディエータへの適用 有機溶媒に可溶なフラビン類縁体であるリボフラビンテトラアセテート(Fl)のジヒドロ還元体(FlH_2)は、アセトニトリル中において様々な基質を還元できることがわかった。即ち、キノン類、脂肪族アルデヒドあるいは芳香族アルデヒド類を還元して対応するアルコールを与えることを見いだした。またアセトニトリル中FlまたはFlH_2をメディエータとし、過塩素酸存在下基質の電気化学的還元反応を検討した。試験極にはおもに金電極を用いた。メディエータとしてFlを用いた場合、生成したアルコールは使用したメディエータとほぼ等量であった。ここで、メディエータをFlからFlH_2にかえると生成量は飛躍的に増大し、アセトアルデヒドの場合、ほぼ100%の収率でアルコールが得られた。
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