研究概要 |
ケテンシリルアセタール、アリル金属化合物の電子移動反応を利用する四級炭素骨格の新構築法の開発を目的としてその基礎検討を行った。本年度はまず電子受容体、供与体のscope and limitationsの探索に着手した。前者として1-benzylnicotinamidium ionおよび1-methylquinolinium ion,p-chloranil,10-methylacridinium ionを用いて研究を展開した。その結果光反応条件下で10-methylacridone,10-methylacridinium ionに電子移動反応が起こり9-位に四級炭素が導入されることが分かった。とくに、後の反応の場合は熱反応ではアルルスズが求核的に反応するがアリルスズは全く反応しない。一方、光反応条件下ではアリルスズ、アリルシラン両方とも電子移動反応により反応して四級炭素化合物を与えることが分かった。 なお、1-benzylnicotinamidium ionおよび1-methylquinolinium ionとケテンシリルアセタールの反応はスムーズに進行し4-位アルキル化体を与えるがいずれも求核反応で進行していることが判明した。さらに、p-chloranilとは電子移動反応がおこるが、Oアルキレーション体が生成する。次に、新規な電子移動を起こしやすいケテンシリルアセタールとしてbeta位がイオウ官能基で置換された化合物の合成を行った。今後はこの反応剤を用いてこれまで不可能とされているhindered enoneへのMichael付加反応につき検討する予定である。
|