研究概要 |
1.フルフラールとフェニルアセトニトリルの付加反応 モデル反応として、アルデヒドとしてフルフラール1、活性メチレン化合物としてフェニルアセトニトリル2の付加反応により1次成績体であるアルコール体3を製取する最適電解条件(電極材料、電流、電圧、溶媒およびその組成、支持塩、反応温度などの効果)について検討した。特に、支持塩の効果、共溶媒の効果について興味ある知見を得た。 (1)支持塩の効果-アンモニウム塩、金属塩を用いたところ、いずれも主生成物としてアルコール体3を得た。特に、Et_4NOTsで良い結果を得た(84%)。異性体比については、CIO_4系で若干生成比に差が見られた。 (2)共溶媒の効果-DMF‐H_2O系、DMF‐MeOH系で良い結果を得た。しかし、DMF‐MeCN、DMF‐C_6H_<14>、DMF‐EtOH、DMF‐PrOHでは、いずれの場合も反応は進行するものの、電流値(5mA)は一定せず、再現性がなかった。次に、DMFに対する水の添加量の効果をそれぞれの支持塩濃度(0.05,0.1,0.2MEt_4NOTs)について検討した結果、アルコール体3の収率は、各支持塩濃度で水の濃度が1.85M溶液の時、最大値に至ることがわかった(82,84,87%)。また、支持塩濃度が高い程、目的物3の収率は高くなる。 2.種々のアルデヒドと活性メチレン化合物の付加反応 種々検討した結果、本電解系(DMF‐H_2O(1.85M)‐Et_4NOTs‐(Pt)‐(Pt)(‐40°C))で発生する電解塩基は、pKa値が約20〜25の範囲の活性メチレン化合物とアルデヒドの付加反応に適用できた。 3.反応機構 陰極側では、テトラアルキルアンモニウムカチオンが一電子還元され、テトラアルキルアンモニウムラジカルになり、これが水と反応してテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドと水素になるものと考えた。このテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが塩基として働くものと考える。
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