研究概要 |
上記の研究テーマについて以下の成果を得た. 1.不斉炭素-炭素結合生成反応の開発 (1)光学活性なパラジウム触媒[Pd{(R)-BINAP}_2]存在下,種々のアルケニルトリフラートをアルケニル化剤に用いて2,3-ジヒドロフランならびに環状エナミンを87〜>96%eeの不斉収率で不斉アルケニル化できた. (2)ノルボルネンの不斉ヒドロアルケニル化反応において最高93%ee不斉収率を達成した. (3)[Pd(OAc)_2/(R)-BINAP]触媒を用いる2,3-ジヒドロフランの不斉アリール化反応機構について検討し,この反応が特異な光学分割過程を内在する触媒的不斉反応であることを明らかにした. 2.シリル白金ならびにパラジウム錯体の研究 (1)白金触媒を用いるオレフィンのヒドロシリル化反応中間体モデルである,cis-およびtrans-Pt-Me(SiPh_3)(PMePh_2)_2錯体(1,2)の立体選択的合成法を開発した.また,シス錯体2の還元的脱離反応について速度論的検討を行ない,この錯体が従来の予想に反して,還元的脱離反応に対して高い反応性を有することを明かとした. (2)パラジウム(0)錯体と種々のジシランとの反応により一連のビス(シリル)パラジウム錯体を合成,単離した.また,非対称型ビスシリル錯体trans-Pd(SiMe_3)(SiF_2Ph)L_2(L=PMe_3,PMe_2Ph)がアセチレン類やオレフィン類のビスシリル化反応に対して極めて高い反応性を示すことを見いだした.
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