研究概要 |
気相におけるフリーラジカルや不安定な反応中間体分子の回転スペクトルを解析し、新しい分子を発見すると共に、分子構造に関する次の結果を得た。 (1)一重項分子CnO(n=5、7、9)の検出及び分子構造 C_5O,C_7O,及びC_9Oのマイクロ波スペクトルをパルス放電ノズル(PDN)の付いたフーリエ変換マイクロ波(FTMW)分光器で測定した。分子は、アルゴンで希釈したC_3O_2の放電で生成した。分子は直線型一重項分子のスペクトルを示した。C_5Oに対しては、ノーマル種及び全ての一置換同位体種のスペクトルを帰属しrs-構造を決定した。得られたC_5Oの結合距離は、分子が真ん中の炭素で曲っている可能性を示唆している。 (2)三重項炭素鎖分子CnO(n=2,4,6,8)の検出 C_2O,C_4O,C_6O,及びC_8Oのマイクロ波スペクトルをPDN-FTMW分光器で測定した。分子は、アルゴンで希釈したC_3O_2の放電で生成した。分子は直線型三重項分子のスペクトルを示した。分子の回転定数、遠心力歪定数、スピン-スピン結合定数を決定した。 (3)ファンデルワールス錯体、H_2O-OCSのマイクロ波スペクトル及び分子構造 FTMW分光器を用いて、H_2O-OCS錯体のマイクロ波スペクトルをノーマル種及び9種の同位体種について測定した。分子構造、双極子モーメント、ファンデルワールス結合の力の定数を決定し、他の等電子分子,H_2O-CS_2,H_2O-CO_2,H_2O-N_2O錯体の値と比較した。H_2O-OCS錯体は重い原子は、直線上にあり、水の酸素原子はイオウ原子と結合している。
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