研究課題/領域番号 |
05238209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
奥野 和彦 東京都立大学, 理学部・物理, 助教授 (70087005)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 多価イオン / 反応断面積 / オービティング効果 / 1電子捕獲過程 / 2電子捕獲過程 / 低エネルギー衝突 |
研究概要 |
これまで主として1価イオンを用いた熱運動エネルギー領域におけるイオン衝突実験で、イオンが原子分子に接近すると分極力で衝突軌道が曲がり蝸旋回軌道を描き、いわゆるオービティング効果と呼ばれる現象が観測され、今まで熱エネルギー領域の固有の衝突現象と思われてきた。しかし、このオービティング軌道断面積はイオンの電荷数に比例して増大するので、多価イオン衝突では熱エネルギー領域よりも高いエネルギー領域でオービティング現象が観測できる筈である。本研究では、低速多価イオンAr^<q+>-H_2、He衝突系における1電子および2電子捕獲過程の反応断面積をイオンの電荷数をq=6、7、8、9、11と変えて測定し、多価イオン衝突におけるオービティング効果を検証し、電子遷移領域とオービティング軌道半径との関係について新しい知見を得た。 Ar^<q+>-H_2、He衝突系におけるいずれの1電子捕獲反応断面積も衝突エネルギーの減少と共に緩やかに増大しその増大傾向は次第に強くなり低エネルギー側でオービティング散乱断面積に漸近的に近づく。また、2電子捕獲過程の反応断面積は1電子捕獲断面積より1桁以上小さくH_2標的とHe標的では衝突エネルギー依存性が異なるが、1電子捕獲のものより高いエネルギー領域でオービティング効果による低エネルギー側の断面積の増大が出現している。しかし、イオンの電荷数を増大させても、オービティング軌道断面積のみならず電子捕獲反応断面積も同程度に増大して、必ずしもオービティング現象の出現領域が高エネルギー側に移動しているようには見えない。これの実験結果から、多価イオン衝突においても、電子捕獲過程の電子遷移領域がオービティング軌道断面積の内側に入るとオービティング効果により反応断面積が増大するという抽像で実験結果をうまく説明できることが判明した。
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