研究概要 |
粒子を含むプラズマ噴流が基板に衝突する場合の熱流動特性を精度よく解析するための数理モデルを構築した。特に、粒子の熱伝導率が低い場合には、粒子の内部温度分布をも考慮しなければならないので、高温噴流中での微粒子の挙動に関してラグランジュ法を適用して解析を行った。なお、高温噴流の特徴である流体の物性値の温度依存性と輻射損失の影響を支配方程式に組み込み、乱流モデルとしては、κ-εモデルを用いている。混入粒子として,粒径=10〜50μmのアルミナ,ニッケル,タングステンの3種類を選び,具体的な計算を行った結果,粒子が高温噴流中で溶融した状態で基板に到達し、均質な皮膜を形成するための最適な粒子径の条件を明らかにした。次に、粒子濃度が大きい場合に問題となる粒子の壁面への衝突と粒子間衝突を考慮した場合の垂直管内下降流を対象に粒子濃度分布の変化をモンテカルロ法を用いて解析し、無衝突の場合との比較により、衝突の影響を明らかにした。さらに,プラズマ噴流への電磁場の影響を明らかにするために、高周波電磁場を作用させた場合の粒子を含む高温噴流の熱流動解析を行い、電磁場の操作により噴流の温度場の制御が可能なこと、および注入粒子の融点到達温度を正確に予測してプラズマ溶射プロセスの最適条件を求め得る計算法を確立した。
|