研究概要 |
本研究では,スターバースト(星生成バースト)銀河では,銀河から外部銀河間空間へ熱いガスの流れが存在し,星間空間が解放系となっている点に着目して,スターバースト銀河内での星間ガスのモデルをつくり,X線の観測と比較した。 1.進化を調べる流体力学シミュレーション法については,余分な数値的振動を生まないTVD法の一種であるmonotonic法によって安定に計算が進むことが明らかになった.このときエネルギー方程式のみを陰解法とすることによって輻射冷却についても時間をさほど要さずに計算できることが分かった. 2.流体力学的シミュレーションによってスターバースト銀河から流れ出る流出流(outflow)とスターバーストの関連について調べた。その結果,銀河本体から10kpc(Fabbiano & Trinchieri)-数10kpc(鶴ら)にまで伸びたX線の広がりは,中心部で起こった超新星爆発によって熱せられた高温のガスが銀河の重力ポテンシャルを振り切って,中心部を取り巻く密度の高いガスによって絞り込まれながら,銀河のディスクに垂直方向に流れ出たものであることがわかった. 3.観測とシミュレーションから予想されるX線エネルギー放出率を比較することによって,Rosat等の低いエネルギーバンドについてはほぼ全てが,ギンガで観測された数kevのバンドについては50%がスターバースト銀河からの流出流によるということがわかった.
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