研究概要 |
天体核物理学上重要な反応である、寿命が1秒以下の^6Heと^8Li、および53日の^7Beが低エネルギー領域で陽子や重陽子と起こす核反応や、^4Heと^<12>Cの核融合反応の断面積を測定する手法の開発を行った。^6He,^7Be,^8Liの2次ビームをD(^7Li,^6He〓^3He,H(^7Li,^7Be〓n,D(^7Li,^8Li)Hの反応によって生成するために、^7Liの1次ビームの発生、低エネルギー実験用の高圧水素ガスターゲット容器の制作、電場・磁場を利用した2次ビームの質量分析系の設計、を行い、さらに^4He+^<12>C実験のための^4Heガスジェットターゲットを試作した。 九州大学タンデム加速器実験室のスパッターイオン源を新しいSNICSIIに取り替え、^7Liイオンビームの抽出テストを行い約0.4muAの強度の^7Liビームを得た。さらに強度を増やすべくイオン源の高温化を行っている。 低エネルギービーム用のガスターゲット容器を製作した。ビームの通過窓には蒸着法で製作した炭素薄膜(約0.3mg/cm^2)を用いた。このターゲット容器の耐圧は最高約1気圧であり、十分満足できるものである。さらにdビームやCビームを用いて、このガス容器の炭素窓の耐ビーム強度を調べた。 2次ビームの分離・高次集束を、軌道計算コードORBITを用いて行い、電場双極子1個、磁場双極子1個、四極電磁石4個、六極電磁石2個の組合せによる解を見つけた。それに基きタンデム加速器実験室に既存の双極電磁石、四極電磁石を含む集束系を設計し、四極電磁石1個を購入した。更に電気双極子の装置設計に着手した。 従来と異なる発想のもとに小型のガスジェットターゲットを試作してテストを繰り返し、本格的装置設計のための基礎データを得た。ガスは冷却しなくても0.1atm・cmの目標の厚さが達成できることがわかった。またこのガスジェットターゲットは天体核反応研究のみならず多方面で利用出来る。
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