研究課題/領域番号 |
05245209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梅野 正隆 大阪大学, 工学部, 教授 (50029071)
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研究分担者 |
田川 雅人 大阪大学, 工学部, 助手 (10216806)
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | トンネル効果 / 電界放射 / エキソ電子 / FSEE |
研究概要 |
エキソ電子放射は原子力プラント等における新しい探傷技術として注目されているが、その放射特性と固体表面との関連性(放射メカニズム)が十分明確化されていないことから実用化には至っていない。一方、電界電子放射の分野においては電界イオン顕微鏡(FIM)や電界電子顕微鏡(FEM)を用いた原子オーダーでの表面解析が行われてきたが、試料がTipに限定されるため、今日までこれらの表面解析手法をエキソ電子放射に応用しようとする試みはなされていなかった。本研究は申請者らが世界で初めて実験的検証を行った金属からのトンネル効果によるエキソ電子放射(電界刺激エキソ電子放射:FSEE)を用いることにより、これら2つの技術の融合を図り、エキソ電子のトンネリング過程による放射メカニズムを解明するとともに、従来法では得られなかったエキソ電子放射の基礎情報を原子スケールの実空間分解能と共に直接得ることを目的としたものである。 本年度は当初の研究計画に従い研究室現有のFSEE実験装置にimage intensifier system(Hamamatsu Photonics V2697U)を組み込み、CCDカメラあるいは35mmカメラでFSEE像を撮影し、パーソナルコンピューター(Macintosh 660AV)上のPhoto shopにより画像処理を行うことにより、微弱なFSEE信号を増幅しFSEE像の直接観察を可能とするシステムを製作した。W-Tipを試料とした実験の結果、本装置は十分な空間分解能を持つことが確認され、同一TipのFSEE像、FIM像、FEM像を撮影することに成功した。これらの一連の実験の結果、AlならびにW-TipからのFSEEには二過程モデルが適用できること、Tip上に吸着した酸素、水素がエキソ電子のトラップサイトを形成していること、FSEE放出量は仕事関数の変化にリニアには対応しないこと、通常の電界放射とは逆の温度特性を持つこと等が確認され、従来のトンネル効果のみでは説明がつかないことが明らかとなった。しかしながら、FSEEの放射確率には明らかにトンネリング過程の寄与と思われる挙動が見られることから、今後吸着ガス分子の影響等も考慮した新たなエキソ電子放射モデルの構築が必要であると思われる。
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