研究課題/領域番号 |
05248214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
吉村 恵 久留米大学, 医学部, 講師 (10140641)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 痛覚 / 脊髄後角 / P物質 / slow EPSP / 脊髄スライス / 膠様質細胞 / 後根 / C線維 |
研究概要 |
成熟ラット脊髄から麻酔下に脊髄を取りだし、脊髄横断スライスに後根を付した標本を作製し、細胞内記録法によって後根誘起シナプス電位およびP物質の作用を解析した。痛覚伝達候補物質であるP物質はその受容体が多数存在する第II層の細胞には何ら作用を示さなかったが第IV-V層細胞には著明な脱分極作用を示した。この脱分極は膜抵抗の増大を伴い、膜の過分極でその振幅は減少、脱分極で増大を示し、K^+平衡電位近くで逆転した。このことはP物質誘起脱分極がK^+チャネルの閉塞によって発生していることを示唆する。次に後根刺激によって発生するシナプス電位を調べた。後根C線維の頻回刺激によって第IV-V層細胞の20%に緩徐興奮性シナプス電位(slow EPSP)が誘起された。Slow EPSPは膜抵抗の増大を伴いまた著明に長く持続した。Slow EPSPは膜脱分極でその振幅は増大し、過分極で減少し、K^+平衡電位近くで逆転を示した。このことはslow EPSPがP物質誘起脱分極と同様のイオン機序によって発生していることを示唆する。そこで次にP物質受容体拮抗薬の作用を検討した。P物質受容体拮抗薬のspantide(10muM)は可逆的にP物質誘起脱分極とslow EPSPを抑制した。このことはP物質がslow EPSPの伝達物質である可能性を強く示唆する。以上の結果より、P物質を含有する後根C線維は後角第II層において第IV-V層ニューロンの樹状突起にシナプスを形成し、slow EPSPを誘起しているものと考えられた。 これらの結果は米国神経科学学会、日本神経科学学会、P物質に関する国際シンポジウム、疼痛学会などにおいて発表した。
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