研究課題/領域番号 |
05249204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大坪 栄一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10158800)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 細菌の有性生殖 / 接合 / プラスミド / traオペロン / DNAヘリケース / ニッキング反応 / 制御遺伝子 / DNA結合タンパク質 |
研究概要 |
細菌の有性生殖とは、供与菌から受容菌へ接合によりDNAを伝達する現象であり、その際、DNAの複製が伴う。供与菌はFやR100等のプラスミドを持ち、これらが接合に必須の遺伝子(tra)を運ぶ。本研究は、プラスミドR100のDNA伝達に関与する遺伝子と、制御遺伝子の作用を解析することによって、DNA伝達が如何に開始され、制御されるのか、その機構を明らかにすることを目的としたものである。 これまでに、我々は、traオペロンの始めと終わりにあるtraYとtraI遺伝子の産物が、DNA伝達開始点oriTを含む特定の領域に作用すること、TraIタンパク質(DNA helicase I)がoriTにニックを導入しその5'端に共有結合すること、TraYタンパク質と宿主タンパク質IHFがニッキング反応の効率を上げること、を見出した。本年度において、TraIタンパク質の生化学的諸性質を詳細に検討すると共に、このタンパク質が二重鎖で生じたニックと同じ位置で単鎖DNAを切断することを明らかにした。この結果はTraIタンパク質が接合伝達に於てその開始と終結のステップで作用することを示唆するものである。一方、DNA伝達初期に必要なもう一つの遺伝子traMの産物が、oriTのすぐ下流(traMのすぐ上流)の領域に結合すること、TraMが膜タンパク質であることからTraMがDNAの膜上へのanchoringに関与するという仮説を提唱したが、TraMタンパク質のDNAへの結合が同時にtraM自身の自動制御に関わっていることを明らかにした。traMには2つのプロモーターがありその内の強いプロモーターで自動制御するが、弱い方は構成的に働くことが分かった。さらに、制御遺伝子として知られるtraJ遺伝子がtraY-traIオペロンを正に制御すること、精製したTraJタンパク質がこのオペロンのプロモーターの上流(traJのすぐ下流)に存在する特異的なパリンドローム構造(sbjと命名)に結合すること、を明らかにした。
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