研究課題/領域番号 |
05249205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
馬渕 一誠 東京大学, 教養学部, 教授 (40012520)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 分裂シグナル / 細胞質分裂 / 収縮環 / リン酸化 / ミオシン軽鎖 / ミオシン軽鎖キナーゼ / rho / 低分子量G蛋白質 |
研究概要 |
私達はこれまで、「分裂シグナル伝達」にタンパク質リン酸化が関わっていることを強く示唆する結果を得ている。タンパク質リン酸化の重要な候補としてミオシン軽鎖のリン酸化が考えられた。そこで、分裂に伴い、卵ミオシンのリン酸化状態が変動するかどうかを調べた。次いで、低分子量Gタンパク質の一つrhoが収縮環の形成に関与するかどうかを検討した。 1.ウニ卵ミオシンをミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)でリン酸化すると、アクチンによってATPaseが活性化されるようになることを示した。また、in vitroでは卵ミオシン調節軽鎖はMLCKとCキナーゼ又は、MPF(中期促進因子)によってそれぞれの特定部位がリン酸化された。次に卵を〔^<32>P〕正リン酸でラベルし、受精後一定時間ごとに卵抽出液を調製し、そこから卵ミオシン抗体を用いてミオシンを免疫沈降して調節軽鎖のリン酸化状態をリン酸化部位とリン酸化量の両面から検討した。その結果、分裂時期にかかわらず常に20%程度の軽鎖がリン酸化されており、リン酸化部位はMLCKによる部位のみが検出された。 2.細胞分裂におけるrhoの役割を研究する手段として、ボツリヌス菌の産生するC3酵素が、rhoをADP-リボシル化してこれを不活性化するという性質を利用した。分裂前のウニ卵にC3酵素を注入したところ細胞質分裂は全くおこらず、核分裂のみ正常に進行して多核の胚に発生した。また、分裂中の卵にC3酵素を注入すると分裂溝は元に戻ってしまった。これら注入卵では収縮環アクチン繊維が欠失していた。更にin vitro実験で、単離分裂溝中のC3酵素の標的はrhoAであることが確認された。これらのことからrhoが分裂シグナル伝達ならびに収縮環の構造維持に働いている可能性が強く示唆された。
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