研究概要 |
1.Bcl-2タンパクに対する特異的抗血清の作成 プログラム細胞死を抑制するオンコプロテインBcl-2の一次構造のうち98-111番のアミノ酸配列に相当する部分ペプチドを合成し,これを抗原として家兎を免疫して抗血清を得た.また41-54番に対する抗血清を米国の研究施設より分与された.両抗体の特異性,力価を検討した結果,両者ともウエスタンブロット上26kDaのBcl2タンパクを認識すること,および免疫組織化学的にラット脳内神経細胞に局在するBcl-2を陽性に染色することが判明した. 2.ラット脳細胞の組織培養下におけるBcl-2の発現 ラット脳より神経細胞,アストログリア,オリゴデンドログリア,ミクログリアの純培養,混合培養を作成し,上記抗体を用いてBcl-2タンパクの発現を免疫細胞化学,ウエスタンブロットにより研究した.その結果,試験管内では神経細胞のみならずグリア細胞もBcl-2タンパクを産生しており,とくにアストログリアで高レベルであることが判明した.bcl-2が神経細胞のみでなくグリア細胞のプログラム細胞死にも関与している可能性が示唆された. 3.Bcl-Xタンパクの免疫組織化学的局在の研究 bcl-2のホモログとして最近発見されたbcl-X遺伝子の産物に対する抗体を作成,入手し,現在特異性,力価の検定を行っている.
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