研究課題/領域番号 |
05251206
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郭 伸 東京大学, 医学部(医), 助手 (40160981)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 神経細胞死 / グルタミン酸受容体 / 興奮性アミノ酸 / アクロメリン酸 / カイニン酸 / AMPA / 脊髄 |
研究概要 |
選択的な非NMDA受容体アゴニストであるアクロメリン酸、カイニン酸、AMPAを、急性(2時間)または持続的(1週間)にラットに髄注する事により、グルタミン酸受容体サブタイプの違いによる神経細胞障害作用の特徴を形態的、神経化学的に検討した。 急性投与:アクロメリン酸(0.75nmol/2h)投与では半永続的な痙性対麻痺が引き起こされた。これは、グリシン、GABAを神経伝達物質とする脊髄小径介在ニューロンの選択的変性壊死によるものであった。前角運動ニューロンは形態的にも、神経伝達物質マーカー(cholin acetyltransferase ChAT)からも障害を受けていないことが示された。カイニン酸投与により弛緩性対麻痺が引き起こされたが、それに要した用量はアクロメリン酸の30倍以上(60nmol/2h)であり、変性したニューロンの選択性にも乏しかった。AMPAの神経障害作用はさらに弱く、100nmol/2hの投与では、脊髄の組織が非選択的に変性に陥っていた。持続的投与:カイニン酸、アクロメリン酸の投与によっては、選択的な病変は得られなかったが、AMPAは3nmol/h以上の用量で、投与3日目以降に始まる遅発性かつ進行性の脊髄ニューロン障害作用を示した。特に、脊髄後角の膠様質の小径神経細胞が強く障害されていた。 非NMDA受容体を介する神経細胞死は関与する受容体の違いにより異なった特徴があることを示した。これらの結果は、興奮性アミノ酸による神経変性が、緩徐進行性の選択性病変という神経変性疾患の特徴を持つことを表し、変性性神経疾患引き起こす病因の可能性があることを示している。
|