研究課題/領域番号 |
05251209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋口 一郎 京都大学, 医学部, 助教授 (30115779)
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研究分担者 |
下濱 俊 京都大学, 医学部, 助手 (60235687)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 神経細胞死 / グルタミン酸 / NMDA受容体 / 神経成長因子(NGF) / BDNF / ニコチン受容体 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 |
研究概要 |
脳虚血に伴う神経変性や数々の神経変性疾患においてグルタミン酸の関与が指摘されている。本研究では、培養大脳皮質ニューロンを用い、短時間のグルタミン酸投与により誘発される遅延性神経細胞死に対するNGF、BDNFおよびニコチンの作用を検討した。培養細胞の生存率はtrypan blue染色法により計測した。培養細胞は、グルタミン酸(1mM)含有液で10分間処置した後、グルタミン酸不含液中で1時間インキュベートした。遺伝子工学的に作製したrecombinant human NGFおよびrecombinant BDNFは24時間の前処置によりグルタミン酸神経毒性を用量依存性に抑制した。しかし、NGF、BDNFを前処置せず、グルタミン酸と同時投与した場合には保護作用は全く観察されなかった。NGFは、24時間の前処置によりNMDAおよびカイニン酸誘発の神経毒性に対しても保護作用を発現した。ニコチンの2時間前処置によりグルタミン酸毒性は用量依存性に抑制された。しかし、ニコチンを前処置せずグルタミン酸と同時投与した場合には保護作用は観察されなかった。一方、NMDA受容体遮断薬のMK-801はグルタミン酸との同時投与により有意な保護作用を示した。ニコチンは、NMDA誘発神経毒性を抑制したが、カイニン酸あるいはAMPAなどの非NMDA受容体アゴニストによる神経毒性には無効であった。ニコチン投与によるグルタミン酸毒性に対する保護作用は、ヘキサメソニウムおよびメカミラミンなどの神経性ニコチン受容体遮断薬により拮抗されたが、アトロピンによっては拮抗されなかった。ムスカリンをニコチンと同様に2時間前処置するとグルタミン酸毒性は増強された。本研究の結果は、大脳皮質ニューロンにおいてNGFやBDNFの様な神経栄養因子およびニコチン受容体刺激によりグルタミン酸毒性が抑制されることを示す。しかもその特徴は、グルタミン酸と同時投与では無効であり、保護作用発現のために比較的長時間の前投与を必要とすることである。
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