研究課題/領域番号 |
05252204
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑島 邦博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70091444)
|
研究分担者 |
伊倉 貞吉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50251393)
横山 茂之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00159229)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | タンパク質の細胞内輸送 / 分子シャペロン / シャペロニン / GroEL / モルテン・グロビュール状態 |
研究概要 |
タンパク質の巻戻りの中間体であるモルテン・グロビュール(MG)状態は、細胞内において、GroELやSecBなどの分子シャペロンにより認識される膜透過型の分子形態に対応すると考えられていた。本研究の当初の目的は、最も典型的なMG状態を示すα-ラクトアルブミン(α-LA)を対象に、GroELによるMG状態認識の分子機構を調べることにあった。しかし、昨年度より本年度初めにかけての研究結果より、MG状態にあるα-LAはGroELと全く相互作用しないことが明らかとなった。 本年度は、(1)GroELの標的タンパク質に対する結合活性を改めて確認すること、(2)SS結合を還元したα-LAとGroELとの相互作用を検討することの二点に絞って研究を行った。 ニワトリのジヒドロ葉酸還元酵素の塩酸グアニジンからの巻戻り反応の中間体はGroELと結合することがすでに知られている。そこで、上のMG状態の実験で用いたと同一の条件下で、ジヒドロ葉酸還元酵素の巻戻り中間体とGroELとの相互作用を分子ふるいクロマトグラフィーにより調べた。その結果両者の間には強い相互作用が観測され、この条件下でGroELが標的タンパク質に対する結合活性を十分持っていることが確認された。 α-LAの4本のSS結合をジチオスレイトールにより還元し、還元条件下で、GroELとの相互作用を分子ふるいクロマトグラフィーにより調べた。その結果、KClの非存在下では、還元α-LAもGroELと相互作用しないが、50mMKClを添加することにより両者が強く相互作用することが明らかとなった。以下の点が明らかである。(1)還元α-LAとGroELとの相互作用にはKCl依存性がある。(2)MG状態はKClを添加してもGroELとは結合しないので、還元タンパク質の方がGroELに対し強い親和性を持っている。(3)ジヒドロ葉酸還元酵素の中間体はKCl非存在下でもGroELと結合したので、GroELとの相互作用の強さは標的タンパク質の種類にも依存する。 CDスペクトルと分子ふるいクロマトグラフィーの溶出位置より、還元α-LAとMG状態との立体構造を比較した。還元α-LAの二次構造はMG状態のものより少なく、分子はより膨潤した構造を取っている。したがって、還元α-LAの構造はよりフレキシブルで疎水性表面もより多く溶媒中に露出していると考えられる。構造のフレキシビリティーと疎水性表面の露出度がGroELによる認識にとって重要であるのかもしれない。
|