研究概要 |
エキソサイトーシス(開口分泌機構)は、細胞外へ分泌されるべき消化酵素やホルモンを正しくソーティング・ターゲティングするとともに、特異的なタンパク分子を特定の形質膜領域へ挿入する機構としても働き、小胞体経路のタンパク質選別輸送における重要な分子機構である。本研究では、動物の膵臓外分泌細胞の分泌小胞(チモーゲン顆粒)膜に特異的に存在するタンパク質に注目し、これらの分子クローニングを行い、構造を明らかにするとともに調節性エキソサイトーシス機構における機能の解明を目的としている。 膵臓のチモーゲン顆粒膜上に特異的に存在するタンパク質群をZAPと命名した。イヌ膵臓から分泌顆粒膜を高純度に精製・単離し、少なくとも7つの特異的なZAPタンパク質の存在を確認した。このうち、精製標品を用いてZAP47,ZAP36の部分アミノ酸配列の決定を行なった。これを用いてオリゴヌクレオチドプライマーを合成、PCRによってそれぞれのタンパク質の遺伝子の一部断片を取得した。この断片をプローブにして、膵臓特異的cDNAライブラリーをスクリーニングして、各ZAPの全長遺伝子をクローニングした。構造解析の結果、ZAP47はカルボキシペプチダーゼB前駆体に類似、ZAP36はカルシウム依存性リン脂質結合タンパク質アネキシンファミリーに類似の分子であることを見いだした。
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