研究課題/領域番号 |
05253218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
指吸 俊次 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00019564)
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研究分担者 |
調 恒明 大分大学, 医学部, 助手 (50179058)
竹下 正純 大分医科大学, 医学部, 教授 (50019551)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 遺伝性メトヘモクロビン血症 / NADH-シトクロムb_5還元酵素 / 変異酵素 |
研究概要 |
遺伝性メトヘモグロビン血症は、患者組織中のNADH-シトクロムb_5還元酵素(b_5R)の欠損によって発症する常染色体劣性遺伝病であり、これまで3型に分類されてきた。すなわち、赤血球の可溶性b_5Rのみが欠損し軽いチアノーゼを呈する「赤血球型」、赤血球のb_5R以外に全身組織のミクロソーム膜に結合したb_5Rも欠損し、チアノーゼ以外に精神遅滞や神経障害を伴う「全身型」、および赤血球や白血球などの血液細胞のb_5Rは欠損するがその他の組織では欠損していないとされている「血液細胞型」である。 本年度は横浜で発見された「全身型」について解析した。横浜の患者の白血球からDNAを抽出しb_5R遺伝子を解析したところPhe298をコードする3塩基が欠失していることが明らかとなった。本酵素と同じファミリーに属するフエレドキシン-NADP^+還元酵素では結晶構造の解析から、C末端のTyrが補酵素FADの結合を安定化する役割を果していることが示され、b_5RでもC末端領域の疎水性アミノ酸(-Phe298-Va1299-PheCooH 300)の重要性が示唆された。そこでPhe298を欠失、Ala,Leuなどに変異させた酵素を作りそれらの性質を調べることにより本症「全身型」(横浜)の発症機構を検討した。その結果、Phe298Ala,Phe298Leuではほとんど野性型と同じ活性を示したが、Phe298欠失酵素ではKm(NADH)が野性型の約50倍に上昇し、活性は約1/5に低下、Kcat/Km(NADH)は野性型の0.4%に低下していた。同様の結果はC末端のPhe300を欠失した変異酵素でも得られた。さらにPhe298欠失酵素の42℃での熱安定性を調べると野性型では1時間後でも失活しないのに対して、Phe298欠失酵素では10分後には約35%にまで低下した。 これらの結果から「全身型」(横浜)の症例ではPhe298が欠失することにより、定常的なタンパク質合成では補い切れない程度にまで活性が低下し、さらに熱安定性も低下することにより発症するものと考えられた。
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