研究概要 |
1.モノクローナル抗体の作成と分類---可溶化ウシ大動脈平滑筋ミクロソームの^3H-MBED結合活性画分に対するモノクローナル抗体産生クローンの樹立を試みた.約30クローンが得られ,認識する抗原によって8種類に分類した.これをアフィニティーリガンドとする抗体カラムを作成し,^3H-MBED結合蛋白質の精製を検討している. 2.^3H-MBED結合活性の臓器分布---骨格筋,平滑筋,脳における結合部位がいずれもカフェインで競合的に阻害されることから,多種の^3H-MBED結合部位の存在が示唆された.ウサギを用いて^3H-MBED結合部位の臓器分布を検討し,以下の結果を得た.検討した全ての臓器で^3H-MBED結合活性が認められ,特に肝で最も活性が高く,次いで脳,肺,及び賢で活性が高かった.全ての^3H-MBED結合活性はカフェインで完全に抑制された.いずれの臓器においても膜画分において活性が高く,そのうち肝,肺ではミクロソーム画分に存在した. 3.肝ミクロソーム^3H-MBED結合部位---最も活性の高かった肝ミクロソームにおいて,^3H-MBED結合部位の性質を骨格筋の結合部位と比較検討し,以下の結果を得た.肝ミクロソームでは結合の親和性は骨格筋と同程度であったが,最大結合量はその30倍以上であった.また,骨格筋と比べてCa^<2+>遊離チャネル阻害剤のプロカインでその結合が阻害されにくかった.更に骨格筋とは異なり,結合のカフェインによる阻害様式は非競合的であった.すなわちカフェインによって影響を受ける分子は同一であるが,結合部位は同一ではないことを示唆する. 4.蛇毒トキシンによるCa^<2+>遊離機構の解析---ガラガラヘビ毒から単離した筋毒性ペプチド(SVTX)が極めて低濃度(EC_<50>=0.3μM)で筋小胞体からCa^<2+>遊離を惹起したが,その性質が既知のCa^<2+>依存性Ca^<2+>遊離(CICR)とは異なった.そこでSVTXの作用機構を解明するため,^<125>I-MYTXを調製し,筋小胞体及びその精製画分に対する結合実験を行なった.^<125>I-MYTXはCICRのチャンネルであるリアノジン結合蛋白質を含む画分とは異なる画分に対し高い結合活性を示した.この結果は新しいCa^<2+>遊離チャネルあるいはその調節蛋白質の存在を示唆する.現在その結合蛋白質の同定を進めている.
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