研究課題/領域番号 |
05256215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 譲二 東京大学, 医学部(医), 客員助教授 (20159528)
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研究分担者 |
神谷 暸 東京大学, 医学部, 教授 (50014072)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / ずり応力 / 接着分子 / 一酸化窒素 / VCAM-1 / mRNA |
研究概要 |
平成5年度に於いては流れ負荷による血管内皮細胞の機能変化に関する実験を中心に行った。とくに内皮細胞の産生する血管拡張物質である一酸化窒素(NO)およびリンパ球との接着現象の面から流れずり応力の作用を検討した。その結果、内皮細胞にずり応力が働くと細胞内cGMP上昇するが、この上昇はNO合成阻害薬があるL-NMAで消失することからずり応力によりNOが産生されることが示された。またずり応力のレベルを変えた実験でこのNOの産生量がずり応力の強さに依存することが判明した。この事実は従来in vivoで観察されてきた血流増加に対する血管の急性拡張反応のメカニズムに血流に起因するずり応力とその刺激によるNO産生が関与する可能性を示していると思われた。また内皮細胞は血流中のリンパ球と接着を介して相互作用を営んでおり、それはリンパ球のホーミング現象や組織の炎症・免疫反応と深く関連する。マウスのリンパ節から培養した内皮細胞に流れを負荷するとリンパ球に対する接着性が明らかに低下するのが観察された。種々の接着分子に対するモノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーの結果VCAM-1の発現が有意に減少しているのが示された。このVCAM-1の減少はずり応力依存性であり、かつ可逆性であった。また細胞のRNAをRT/PCRで検索したところずり応力でVCAM-1mRNAの発現も減少することが判明した。以上の結果から流れ負荷が遺伝子レベルに影響を及ぼし、接着蛋白の発現減少を引き起こすことが内皮細胞のリンパ球に対する接着性を低下させると考えられた。
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