研究課題/領域番号 |
05257204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 哲明 東京大学, 理学部, 助手 (60192770)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | イチジク属 / 寄生者 / 多種共存 / 開花同調性 / 種多様性 / 分子系統 |
研究概要 |
1、イチジク属植物の寄生者がどのように共存しているのかを明らかにするために、鹿児島県南部のアコウ個体群を対象に寄生者の資源利用パターンを比較した。その結果、特定の寄生者が利用する資源は限られており、種ごとに固有の範囲を持つことが明らかになった。これは資源を使い分けることで多種共存が維持されていることを示している。 2、個体群間での花期の同調性と寄生者の多様性の相関を調べる目的で、八重山諸島、沖縄本島、奄美大島、鹿児島県南部のアコウ個体群について3回の野外調査を行なった。その結果、鹿児島県南部の個体群でははっきりとした個体間での開花の同調性が認められたが、他の地域では開花の同調性は認められなかった。寄生者の種多様性は沖縄本島で最も高く(7種)、北上するにつれ漸減した(鹿児島県南部:4種、奄美大島:5種)。八重山諸島で種多様性が低い(4種)のは近縁種のオオバアコウとの競合でアコウ個体群のサイズが小さくなっているためと推測される。したがって研究開始当初の予測通り、個体間の開花同調性は寄生者の種多様性と相関しており、寄生者が利用可能な資源量の変動が寄生者の種多様度を規定する重要な要因になっていることが示唆された。 3、イチジク属植物の寄生者4属5種についてシトクロム酸化酵素サブユニットI遺伝子(coxI)の塩基配列を決定し、すでにわかっている花粉媒介者の塩基配列とあわせて分子系統樹を作成した。その結果以下のことが明らかになった。(1)属間の関係はおおまかには従来形態的形質から予測された系統関係と一致した。(2)異なる属に分類される寄生者は、それぞれ独立に特定のイチジク属植物への寄生を成立させたと考えられる。(3)オナガコバチ類の系統関係は、寄種となるイチジク属植物の系統関係と一致しない部分が認められた。これは、すでに分化した寄種植物に特定のオナガコバチ類が適応放散したものであると考えられる。
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