研究課題/領域番号 |
05257207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
巌佐 庸 九州大学, 理学部, 教授 (70176535)
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研究分担者 |
松田 裕之 九州大学, 理学部, 助教授 (70190478)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | フェノロジー / 種分化速度 / 絶滅速度 / 種の多様性 / 熱帯多雨林 / 不適な季節の長さ / 種間競争 / 分子系統樹 |
研究概要 |
種の多様性の維持機構や過去の大量絶滅や急激な適応放散の推定などについて理論的な研究を進めた。 (1)多様性の維持機構 熱帯多雨林においては維持される樹木の種数が、冬をもつ温帯林や乾季をもつ季節林よりもはるかに高いが、この理由を樹木の更新を考えるモデルによって調べた。成長に不適な季節の影響で更新の同期が生じるという新しい仮説を展開した。できるだけ細かくニッチを分割することによってはじめて多数の種が共存できるという往来の考え方とは違って、むしろ互いに似通っていることによって共存しやすくなるという結果が得られた。これは世代の重なりが大きいロッタリーモデルの特徴である。また群集に共存できる種のフェノロジーにはかなりはっきりとしたパターンのあることがわかり、樹木の更新の季節性の種の多様性を理解する上での重要性が明らかになった。 (2)種分化と絶滅の推定 たとえば鳥類のすべての科についてはDNAハイブリディゼーションによる鳥類の分子系統樹が描かれているが、そのようなパターンをみて、種分化および種の絶滅のスピードとそれらの時間変化を推定する方法を調べた。過去に種の大量絶滅が生じたとしても、それだけではこのような現存種の祖先系統樹の形には現われない。これに対して急激な種分化がおきたことは容易に読み取れる。さらに種の生成/消滅速度が種数によって変わるという場合について調べた。ある生活形をもつ一群の種について、最初の1つが適応帯に飛び込んでから急激に種分化が進み、一通りの適応放散が終わっていろんなニッチがうまってしまうともはや種の絶滅も適応放散も起こらなくなる場合と、いつも種の絶滅と分化が生じている場合とを、系統樹の形からこれらを区別することができた。
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