研究課題/領域番号 |
05257208
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 群集構造 / 共存 / ハナヤサイサンゴ / サンゴガニ類 / オニヒトデ |
研究概要 |
ハナヤサイサンゴ共生生物群集の成立過程に関与していると考えられるオニヒトデの役割について研究するために、一昨年オニヒトデが存在しない水域(熊本)での調査を実施した。本年度は先ずそのサンプルの解析をした結果、熊本では沖縄よりもサンゴガニ類の種数が少なく、抱卵数は大型個体ほど多いが沖縄のデータとは差が認められない、等の結果を得た。 また数年来調査を継続している沖縄のサンゴ礁では、数年前と比較するとオニヒトデの個体数が激減しているので、この影響が共生種に出ているかどうかについて、サンゴのサイズと出現する共生種の関係に関する再調査を実施した。傾向は過去(オニヒトデが多数存在していた頃)と同じであり、大型サンゴほど多種のサンゴガニ類が確認されたが、特定種については明らかに個体数の減少がみられ、又小型化していた。 サンゴに対する捕食者であるオニヒトデが存在しない事により、サンゴガニ類は攻撃行動をする必要がないので、その分のエネルギーを成長や繁殖に利用し得ていることはないであろうか?あるいは、サンゴガニの種間関係がより激しくなる結果、弱者が排斥され(途中で小型化する可能性もある)、種数が減少する事はないであろうか?後者の推測は、オニヒトデの個体数が少ない現在の沖縄において特定種の個体数が減少かつ小型化しているという事実により、強固なものとなるが、さらにこれを確かめるためには、オニヒトデの存在下及び非存在下における共生種の反応を観察する方法が考えられるので、現在、資源量(サンゴのサイズ)を考慮しながらの予備実験を実施している。 より南方のタイにおいても過去に2カ所(シャム湾奥部のシーチャン島と比較的湾口に近いサムイ島)調査を実施した経験がある。そこではオニヒトデは観察されず、サンゴガニ類は1種類のみが採集された。今回の結果と比較検討した結果、同程度のサンゴに生息しているサンゴガニは明らかにタイノ方が沖縄の個体よりも大型であった。これは上記の推測を支持する結果である。 サンゴガニ類の共存の機構には、オニヒトデの存在と関連した種間関係の程度とオニヒトデの撃退に要するエネルギーの差、及び資源としてのサンゴのサイズが重要な要因であることが示唆された。
|