研究概要 |
本研究計画では典型的なタンパク質食品である卵中よりリゾチーム、乳中よりα-ラクトアルブミンを研究対象として取り上げ、部位指定突然変異導入法等を用いて改変タンパク質を作製し、これらタンパク質の機能と物性の変換を目的とした。 〔研究成果要旨〕 ニワトリ卵白リゾチーム 本班員は卵タンパク質のニワトリ卵白リゾチームの活性部位アミノ酸残基の内、Trp62を芳香族及び脂肪族アミノ酸残基に変換し酵素活性の大幅な上昇と基質糖鎖との結合様式の変換を観察してきた。本年度はTrp62Ser,Trp62Met,Trp62Lys変異体を作製し機能解析を行った。顕著な機能変換が観測されたTrp62Tyr,Trp62Phe,Trp62His変異体は基質類似体との複合体等のX線結晶構造解析を行っている。 α-ラクトアルブミン 本班員は哺乳類の乳清中に存在するα-ラクトアルブミンを遺伝子工学的に改変し、リゾチーム様生物活性を導入することを目指している。本年度は両タンパク質の「モジュール構造」の相同性に着目して、リゾチームのモジュール2を交換した変異α-ラクトアルブミンを作製しその機能の解析を行った。このモジュール2変換α-ラクトアルブミンはリゾチームの基質糖鎖に対する結合能を有しているとが明らになった。一方、食品タンパク質の構造安定性はその分解や吸収のされ方に大きな影響を与えていると考えられる。ヤギα-ラクトアルブミンの内部の疎水性領域にあるAla30をIleに変換することにより生物活性には大きな影響を与えずに、酸性条件下における安定性を高めることができた。
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