研究課題/領域番号 |
05258215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 必須不飽和脂肪酸 / アラキドン酸 / シクロオキシゲナーゼ / リポキシゲナーゼ / プロスタグランジン / 骨芽細胞 / 機能性食品 / 酵素誘導 |
研究概要 |
[研究目的]生体調節因子の生合成という食品としての必須不飽和脂肪酸の三次機能をもたらすシクロオキシゲナーゼやリポキシゲナーゼのような酸素添加酵素を、分子生物学的に研究することが、本研究計画の目的である。 [研究経過と成果]マウス頭蓋冠からクローン化されたMC3T3-E1細胞は、培養中に分化して骨芽細胞になる。この細胞はアラキドン酸を使って、骨吸収作用のあるプロスタグラジン(PG)E_2を作り、このPGE_2の生成は種々の物質で顕著に促進されることが見出された。シクロオキシゲナーゼmRNAをノーザンブロット法で調べると、酵素活性の上昇に先立ってmRNAレベルが上昇するが、元のレベルの2-3倍に過ぎず、酵素活性の上り方と顕著な差があった。1991年になって、ヒヅジ精嚢腺の酵素のような既知のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)と区別されるアイソザイムが発見され、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)と呼ばれるようになった。 このような知見の上に、私達は先に報告したMC3T3-E1細胞におけるシクロオキシゲナーゼ誘導を再検討した。イロプロスト(PGI_2の安定類縁体)あるいはPGF_<2α>を細胞に投与すると、1-3時間のうちにCOX-2のmRNAが速やかに10倍以上も上昇し、数時間のうちに消退するという時間経過を示した。一方COX-1のmRNAは6-8時間かけてゆっくりと上昇し、元のレベルの2-3倍になるに過ぎない。このようなmRNAの相対量の変化が、酵素量の変化と果して関連するものかどうかを調べるため、COX-2に特異的な抗体を使って、沈降するCOX-2と沈降しないCOX-1の酵素活性を測り分けると、1-3時間で急速に立上る酵素活性の約90%はCOX-2であることがわかった。不飽和脂肪酸の食品としての三次機能を考え、またEPAやDHAの代謝と栄養学的効果を考える時に、この新しいCOX-2の動的な変動は考慮に入れなければならない1つの因子と思われる。
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