研究課題/領域番号 |
05259201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前島 正義 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (80181577)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 液胞膜 / エネルギー変換酵素 / アデノシントリホスファターゼ / プロトンポンプ / 水分子チャンネル |
研究概要 |
植物液胞膜には種々の選択的物質輸送系が存在し、物質集積、細胞質イオン濃度の調節などの液胞機能を支えている。本研究はとくに液胞膜のH^+-ATPaseとH^+-輸送性ピロホスファターゼ(H^+-PPase)の2種プロトンポンプおよび水分子チャネルと考えられるタンパク質に焦点を当て個々の分子の解析をすすめ、生理的変動についても分析した。 1 精製したH^+-PPase(73kD)をリポソームに再構成し、73kDタンパク質のみで無機ピロリン酸に依存したH^+輸送能を示すことが立証できた。このことは一次構造中に基質分解部位とH^+輸送に関与する部位が存在することからも支持される。H^+-PPaseは緑色植物共通の酵素であることも明らかにした。 2 液胞膜ATPaseの触煤サブユニット(68kD)のcDNAから推定される一次構造は他の植物、動物、微生物の対応するサブユニットと類似性が高いこと、また数種の植物から液胞膜ATPaseを精製し比較したところ、共通するサブユニットと、種特異的なものがあることが明らかになった。 3 液胞膜に高疎水性タンパク質(23kD,VM23)を見いだし、部分アミノ酸配列および抗体反応性から、VM23が水分子チャンネルとして知られるタンパク質と同種であることを明らかにした。VM23は植物種により分子種が異なり、シャジクモなど一部の種はVM23を欠いていた。VM23の有無はH^+-ATPase、H^+-PPaseの機能に直接的な影響を持たないことを確認した。これらの知見をVM23の生理機能解明の手掛かりとしたい。 4 液胞型H^+-ATPaseとH^+-PPase、VM23は種子タンパク質顆粒の膜にも存在することを、酵素活性と免疫ブロット、免疫電子顕微鏡観察により明らかにした。これらのタンパク質は乾燥種子にはほとんど存在せず、発芽過程で誘導合成される。これらの新知見はタンパク質顆粒の液胞化を分子レベルで示すものであり、発芽種子は液胞膜物質輸送系の誘導局在化機構、生理的応答の仕組を理解するモデル実験系であると考えられる。
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