研究課題/領域番号 |
05259212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 章夫 京都大学, 理学部, 教授 (20012370)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1993年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ハロロドプシン / 塩素イオン / ポンプ / レチナール / フーリエ変換赤外スペクトル / 水分子 / バクテリオロドプシン / 好塩菌 |
研究概要 |
(1)好塩菌にあるハロロドプシン(HR)は光によって塩素イオンを運搬するが、約3分の1の割合で硝酸イオンをも輸送する。これらのイオンが運搬される機構を解明するために、それぞれが結合したハロロドプシンのシッフ塩基の近くでの構造の違いを、光反応によるL中間体の生成にともなうフーリエ変換差スペクトルから解明することを試みた。L中間体の生成量は、明順応状態におけるオールトランス型の割合に比例することから、オールトランス型からのみ生成することがわかる。170Kでの光照射前後の差スペクトルの1800-800cm-1の領域に現われた光照射前のスペクトルの大きさは、硝酸イオンの場合は、塩素イオンの場合の約3分の1になっている。 (2)重水置換で同定されるシッフ塩基のC=N伸縮モードは、いずれの場合において1634cm-1で、共鳴ラマン法で硝酸イオンの場合に見られた1645cm-1のバンドは見られない。このことは、硝酸イオン中のオールトランスHRには2種類あり、C=N伸縮を1645cm-1にもつHRは光によってはLを形成せず、1634cm-1にもつ塩素イオン中のと同じ構造をもったものだけがL中間体を形成することを示す。このシッフ塩基の水素結合の強さは、バクテリオロドプシン(BR)に比べて弱い。 (3)BRには、分子内に弱い水素結合をもった水分子があり、Lの生成にともなって強い水素結合を形成する。HRにも同じような弱い水素結合をもった分子内の水分子が見い出されたが、その振動数には塩素イオンの場合と硝酸イオンの場合では違いが見られた。BRでみられたトリプトファン182とレチナールの相互作用を示す振動バンドは、HRではみられない。 (4)BRではシッフ塩基は水を介しての対イオンであるアスパラギン酸85と弱い水素結合を形成していた。オールトランス型HRではシッフ塩基のN-Hは水分子を介して、アスパラギン酸85に代わる塩素イオン、硝酸イオンなどのアニオンと弱い水素結合を形成している。
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