研究課題/領域番号 |
05260211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桝 正幸 京都大学, 医学部, 助手 (20243032)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | グルタミン酸受容体 / 分子生物学 / 小脳顆粒細胞 / 細胞死 / 副嗅球 / 側方抑制 |
研究概要 |
我々はNMDA受容体サブユニット5種類と代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)サブタイプ7種類のcDNAを単離し、その一次構造、電気生理学的・薬理学的性質及び発現について解析を行ってきた。今年度は各受容体の生体内での特異的役割について検討した。 mGluRサブタイプの1つであるmGluR2は、副嗅球の顆粒細胞に多く発現しており、免疫電顕により、これが僧帽細胞との間の相互シナプスに局在することを証明した。次に我々の開発したアゴニスト検定系を用いて同定したmGluR2特異的アゴニストDCG-IVを副嗅球のスライスパッチ記録系に適用し、mGluR2の働きを調べた。その結果、mGluR2は顆粒細胞から僧帽細胞へのGABA性の神経伝達を前シナプス的に抑制することが分かった。顆粒細胞は周囲の多くの僧帽細胞に側方抑制を引き起こすが、mGluR2は顆粒細胞から活性化された僧帽細胞への自己抑制のみを解除し、嗅覚情報伝達における信号の識別、強調などに関与している可能性が示唆された。 一方、グルタミン酸受容体の神経細胞死への関与は小脳顆粒細胞の初期培養系を用いてよく研究されている。我々は、この系におけるNMDA受容体の調節とその役割について検討した。高KClの脱分極刺激により顆粒細胞のNMDA受容体活性が上昇することは既に知られていたが、これはNMDA受容体サブユニット5種類のうちNR2Aサブユニットのみの誘導により起こることをノザンブロッティングで示した。またNR2Aに対するアンチセンスヌクレオチドによりNMDA活性の誘導が抑制されることを証明した。一方、長期の脱分極刺激の結果、顆粒細胞はNMDA毒性に感受性を示す様になるが、これもNR2Aサブユニットの特異的上昇によることを示した。以上の結果はNR2Aサブユニットの調節が神経細胞の活動度に応じて小脳顆粒細胞のNMDA活性及びNMDA感受性を決定していることを示し興味深い。
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