研究課題/領域番号 |
05261205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 基治 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (10027500)
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研究分担者 |
山下 晶子 日本大学, 医学部, 助手 (30246889)
清水 慶子 霊長類研究所, 教務職員 (90135616)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 老齢サル / 中枢神経系 / 神経栄養因子 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
哺乳類中枢神経系には種々の神経栄養因子が存在し、神経系の発生発達および成熟期における細胞の生存維持に関与している。本研究は、これら栄養因子のなかで脳由来神経栄養因子(BDNF)に注目し、その遺伝子発現が脳老化に伴ってどのように変遷するかを明らかにすることを目的としている。 2歳、10歳、30歳以上のニホンザルの中枢神経系より総RNAを抽出した。BDNFmRNAの検出には、マウスBDNFcDNAよりRNAプローブを合成しノザンブロット法を用いて行った。その結果以下のことが明らかとなった。 1.海馬、大脳皮質各領野、小脳、尾状核や視床において1.6kbと4.0kbの二つのmRNAが発現していた。時に海馬、大脳皮質連合野(前頭前野、側頭連合野)や小脳のように可塑性の高い脳領域に遺伝子発現量が多く、BDNFが記憶や学習といった高次脳機能へ関与していることが予想された。 2.大脳皮質各領野におけるBDNFmRNAは、2歳、10歳、30歳以上と加齢が進むにつれて40〜60%減少した。特に1.6kbのmRNA量の減少が顕著であった。一方海馬においては、30歳以上になってもmRNAはかなり安定に発現していた。 以上のように、BDNFの遺伝子発現は脳老化と関連がある事が予想されたが、今後さらに他の脳領域におけるBDNFmRNA量の加齢変化を調べ比較する必要がある。 なお多量の脳試料からRNAを抽出するために、本年度購入した微量高速遠心機が有効に使用されている。
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