研究課題/領域番号 |
05261206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下濱 俊 京都大学, 医学部, 助手 (60235687)
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研究分担者 |
木村 淳 京都大学, 医学部, 教授 (10204976)
竹縄 忠臣 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40101315)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / ホスホリパーゼC / デルタ / グルタミン酸 / 細胞死 / 血小板 / 神経原線維変化 / 脳内異常蓄積物質 |
研究概要 |
細胞膜にはイノシトールリン脂質を特異的に分解してジアシルグリセオールとイノシトールリン酸を生成するホスホリパーゼC(PLC)が存在する。PLCはさまざまな外界情報物質に依存した細胞応答系に関わるシグナル変換酵素といえる。本年度はアルツハイマー病(AD)におけるイノシトールリン脂質代謝異常、特にPLC異常について明らかにした。PLCアイソザイムのPLC-δに対する特異抗体を用いた免疫組織化学的検討で、PLC-δはAD脳の神経原線維変化(NFT)だけでなく、PSPのNFT、Pick病のPick小体、DLB病のcortical Lewyにも異常に蓄積していたことより、数々の神経変性疾患の脳内異常蓄積物質の形成機序にPLC-δ異常が関与している可能性がある。Western blotting解析によりAD脳の可溶性分画およびAD患者血小板の可溶性分画で対照群に比べ、PLC-δ量が有意に増大していた。PLC-δ異常は脳だけでなく全身の代謝異常である可能性がでてきた。今後、アルツハイマー病でのPLC-δの分子異常の特性の検討が必要である。低濃度(25μM-200μM)のグルタミン酸を短時間投与し、その後グルタミン酸不含液で24時間インキュベートすることにより、50μM以上のグルタミン酸により濃度依存的にラット培養大脳皮質ニューロンの細胞死が誘発された。グルタミン酸の同様な投与により、25μMの低濃度からら濃度依存的に、PLC-δの免疫活性の増大が認められた。細胞外カルシウムイオンの除去あるいはNMDAレセプターアンタゴニストのMK-801の投与により、グルタミン酸によるPLC-δの免疫活性増大の有意な減少が認められ細胞死も著減した。これらの結果より、グルタミン酸投与によるカルシウムイオンの流入によりニューロン内のPLC-δの免疫活性が増大し細胞死と関連することが示唆された。PLC-δの増大がニューロン死において果たす病態的意義については、イノシトールリン脂質代謝異常の観点よりさらに検討を要する課題である。
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