研究課題/領域番号 |
05262101
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
庄司 省三 熊本大学, 薬学部, 教授 (60040317)
|
研究分担者 |
池田 滋 鳥居薬品研究所, 主任研究員
古石 和親 熊本大学, 薬学部, 助手 (40238663)
服部 俊夫 京都大学, ウイルス研, 助教授 (30172935)
高下 勝滋 三新化学研究所, 主任研究員
高月 清 熊本大学, 医学部, 教授 (80026830)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | AIDS / HIV / Tat / 抗HIV剤 / ミリストイル化 |
研究概要 |
HIVプロウイルスの発現にはHIVの調節遺伝子群(Tat,Rev,Net)の中でもtat gene産物であるTatタンパク質が重要で、このタンパク質(86あるいは72アミノ酸残基)は高塩基性領域(2 Cys,6 Arg:核へ移行するシグナルと考えられている)及び高システイン領域(7 Cys)からなる。まず始めに、TatプラスミドpBC12/HIV/TAT及び分泌型アルカリホスファターゼプラスミドpBC12/HIV/SeAPをCOS-7にco-transfectionして、HIV-Tat Assay系を確立し、このAssay系を用いて、Tatタンパク質の機能領域と競合的に結合する有機亜鉛化合物及びチオール化合物を分子設計して、多数合成(高下博士が担当)し、Tatの機能阻害を試みた。テストした化合物のうち、ある種のチオール化合物がTat活性を著しく阻害し、抗HIV活性が認められた。現在、さらに作用機序を追及中である。 タンパク質のアミノ末端グリシン残基に長鎖飽和脂肪酸ミリスチン酸が結合する事をタンパク質のミリストイル化と呼ぶが、この事は申請者によって初めてcAMP-依存性プロテインキナーゼに見出された。さらに、申請者によって、ヒトレトロウイルスHTLV-Iのp19^<gag>及びHIV-1のp17^<gag>にミリストイル化が見出された。このミリストイル化を触媒する酵素の反応機構に基づいて分子設計された阻害剤(N-ミリストイルグリシナールジエチルアセタール)は、HTLV-I持続産生株MT-2、MT-4細胞中のp19^<gag>タンパク質のミリストイル化を強く阻害した。また、本阻害剤をHIV-1持続産生株CEM/LAVに作用させると、HIV-1ウイルスのコアタンパク質p17^<gag>のミリストイル化を著しく抑制する事が明確になった。本阻害剤存在下MT-4にHIV-1を初感染させ、感染性娘ウイルスをTCID_<50>を指標に求めると、本阻害剤は40muMの濃度でウイルス産生を98%阻害する事が明らかになったが、本剤は水に対する溶解性が悪い。この問題を解決するために、ミリスチン酸のアシル末端にピリジル-チオ基を導入したピリジル-チオ-ミリスチン酸を合成し、ミリストイル化阻害及び抗HIV活性を測定した結果、この化合物は水に対して可溶性で、N-ミリストイルグリシナールジエチルアセタールよりも強い抗HIV活性が認められたので、現在、HIV粒子非産生HIV感染細胞株(U1、ACH-2)を用いてその作用機構を解析中である。
|