研究課題/領域番号 |
05262215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
水落 次男 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教授 (90133149)
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研究分担者 |
浜子 二治 藤田保健衛生大学, 短期大学, 助手 (80180933)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | エイズ / HIV / 抗HIV剤 / 抗真菌剤 / 抗生物質 / 糖鎖構造 / 糖蛋白質 / 人工糖脂質 |
研究概要 |
HIV粒子表面の大部分は、HIV表面糖蛋白gp120分子の約半分を構成する糖鎖によって覆われていると考えられている。また、これまでに我々はHIV(IIIB)感染H9細胞由来gp120の糖鎖構造の全貌を解明したとともに、高マンノース型糖鎖がその主要な糖鎖であり、しかもHIV感染過程に重要であることを明らかにした。そこで本研究では、HIV表面に存在するこの高マンノース型糖鎖を標的としてHIV感染を阻止する物質の探索を行なった。まず我々は、真菌の表面がHIV粒子表面と同様に大量のマンノースで覆われているため、抗真菌剤の中に糖鎖に結合してHIV感染を阻止する物質がないか、HIV(IIIB)感染H9細胞による合胞体形成能を指標にして調べた。その結果、Pradimicin Aという抗真菌剤が合胞体形成阻止作用を示すこと、また、その作用は我々がすでに明らかにしているHIV(IIIB)のgp120糖鎖の内の高マンノース型糖鎖によって阻害されるが、それ以外のgp120糖鎖では阻害されないこと、マンノースを大量に含むマンノース-BSAやマンナンによって阻害されることも判明した。そこで次に、より水溶性が高く同様の活性を示すBMY-28864というPraimicin A誘導体を用いて、様々な糖蛋白質、人工糖蛋白質、糖蛋白質糖鎖を導入して作製した人工糖脂質に対する結合実験をPVDF膜上およびTLCプレート上で行なった。その結果、この物質がgp120とマンノース-BSAには結合するが健常人の糖蛋白質には結合しないこと、この結合がCa^<2+>依存性でありマンノースによって阻害されることが示された。さらに、人工糖脂質を用いた実験から、この物質がgp120の高マンノース型糖鎖に結合する糖鎖結合性抗生物質という全く新しい概念の物質であることを明らかにできた。これらの知見は、HIV糖鎖を標的とした抗HIV剤の開発が可能であること、糖鎖結合性抗真菌剤がHIV感染者におけるHIV増殖やエイズ発症の抑制剤として有望であることを示唆している。
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