研究概要 |
(1)初期胚発生で発現するホメオボックス遺伝子と細胞系譜 マボヤの受精卵cDNAから単離されたLIM型ホメオボックス遺伝子“Hrlim"は、ノザン解析によれば、受精卵、未受精卵で発現のレベルが高く、発生の進行と共に発現が低下する。最近我々の手の中で、ホヤ胚のwhole-mount in situ hybridizationが働くようになり“Hrlim"の発現について以下の知見を得た。(〓)32細胞期から64細胞期にかけて核に強いシグナルが観察されることから“Hrlim"はzygoticに転写が活性化される。(〓)この“Hrlim"の転写活性化がみられる割球は、内胚葉と、脊索および間充織を含む中胚葉の系譜に限られる。(〓)“Hrlim"の転写活性化の起こる時期と、割球の発生運命が限定されると考えられている時期との間には、一致が見られるもの、見られないものがあり“Hrlim"は原腸形成開始期に、内胚葉や脊索の系譜の決定に関わっている他、複数の機能を持っていることが予想される。 (2)ホヤのHOM-C/Hox遺伝子の構造と発現ホヤの特異な発生経過が、どのようにHOM-C/Hox遺伝子群の構造や発現に反映されているのかを明らかにするため、マボヤのHOM-C/Hox遺伝子のクラスター構造の解析を開始した。マボヤゲノムのコスミドライブラリーを作製し、これまでに得られた6種のHOM-C/Hox遺伝子断片をプローブとしてスクリーニングを行い、これまでに得られた6種のHOM-C/Hox遺伝子断片をプローブとしてスクリーニングを行い、少なくともParalogve1,2,3が、ゲノム上に並んでいることを明らかにした。また、PCRでえられたHOM-C/Hox遺伝子断片の種類とその数からクラスターの数は1つ、多くとも2つを越えることはないものと考えている。
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