研究概要 |
ゼブラフイッシュ胚の脊髄では、半体節当り3個の1次運動神経細胞が存在し、RoP,MiP,CaPと呼ばれる。我々は,1次運動神経細胞の特異化の分子機構を明らかにするために、1次運動神経細胞の個性が決定される受精後16〜18時間目頃に、一部の1次運動神経細胞のみで発現する転写制御因子の同定を試みた。その結果、これまでに3種の独立したZISH(zebrafish Isl-1 homolog)cDNAクローンを単離している。 ZISH-1のmRNAは、3種の1次運動神経細胞のうちのRoPのみで発現する。ZISH-2は、CaPだけで発現する。腹側でのZISH-1発現RoPとその周囲に限られる時期(受精後16時間)が、1次運動神経細胞の運命決定が不可逆的に起きる時期と一致していることも考えあわせると、ZISH遺伝子群は、各々の運動神経細胞が異なった個性を持つ過程と、密接に関係するのではないかと、我々は期待している。現在、ZISH遺伝子の役割を明らかにするために、異所性発現を試みると共に、ZISH遺伝子群以外のLIM遺伝子の神経分化における役割を明らかにするために、ショウジョウバエのapterousや人のLH2に類似する遺伝子のクローニングを試みている。
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