研究課題/領域番号 |
05265219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
太田 成男 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00125832)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1993年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | ミコンドリアDNA / ミトコンドリア脳筋症 / 心筋症 / tRNA / タンパク合成 / 遺伝子症 / DNA変異 / エネルギー代謝 |
研究概要 |
乳児致死性の心筋症患者にミトコンドリアtRNA-Ileのacceptor stemの塩基番号4269に塩基置換が見つけられていた。しかしながら、MELASやMERRFとは異なりこの症状を持つ患者のmtDNAを比較し、共通の変異として発見されたわけではないので、tRNA-Ileの塩基置換が心筋症の原因なのかどうかは確定していなかった。そこで、患者線維芽細胞から核を除き、mtNDAを完全に失ったHeLa細胞と融合した。これは細胞質との融合なのでサイブリドとよばれ、HeLa細胞の核と患者のmtDNAを持つ細胞である。サイブリドのなかでtRNA-Ile変異を持つmtDNAのみを持つ株とS正常mtDNAのみを持つ株を分離した。このふたつの株は核は共通なのでmtDNAの違いによって表現型が変わるはずである。変異tRNA-Ileの機能を調べるためにミトコンドリア内のタンパク質合成を測定した。方法は細胞質タンパク質合成の阻害剤エメチン存在下でアイソトープ標識アミノ酸をとりこませ、SDS-PAGEで解析した。するとtRNA-Ileの点変異によってタンパク質合成は著しく低下し、4269変異によって心筋症が発症することが強く示唆された。この変異は3243,8344変異に続くタンパク質合成を低下させることが証明された第3の変異である。さらにNorthern Blotによって定常状態のtRNA-Ile量を調べると正常細胞に比べ半分以下に減少していた。また、tRNA-Ile前駆体が蓄積していた。4269変異はacceptcr stemに位置し、成熟tRNAになるために切断される位置と6塩基離れている。tRNA-Ile遺伝子上に変異が起こるとtRNA-Ileのプロセシングに異常が生じることが判明した。
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