研究概要 |
RNA結合タンパク質とリボソームタンパク質S21をコードするオペロン(rbpA-rpsU)の発現の低温誘導に関して研究を行い,以下の結果を得た。 1.rbpA-rpsUオペロンの塩基配列を決め,転写領域を確定した。 2.rbpAを大腸菌で大量発現し,13kDaのポリペプチドをクロマトグラフィーによって精製し,さらに抗体を作製した。ウェスタンブロットの結果,大腸菌で作られたものと同一分子量のタンパク質がラン藻でも検出された。RbpAタンパク質のRNA結合活性を,RNA-セファロースへの吸着とゲル濾過によるRNAとの共溶出という2つの方法で確認した。 3.rbpA-rpsUオペロンの温度による制御をノーザン法によって測定したところ,22℃では38℃に比べて約20倍の転写産物が蓄積していた。この蓄積は,リファンピシンにより阻害された。この阻害剤を用いて測定した転写産物の寿命は,22℃では20分,38℃では5分であった。ウェスタンブロットによってRbpAタンパク質の蓄積量を測定したところ,22℃では総タンパク質量の約2%まで蓄積していた。しかし,温度による変化は3〜4倍程度であった。 4.プロモータ活性をlacZfusionを用いて調べたところ,38℃でも,22℃へのシフト後でも全く同じ高いガラクトシダーゼ活性が検出された。従って,rbpA上流には高いプロモータ活性があり,これは温度によって変化しないことになる。rbpA-rpsUオペロンの温度による制御は,転写開始後で行われていると考えられる。今後,コード領域に温度制御のシス要素が存在する可能性を検討する。
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