研究概要 |
1)CO_2を含まない空気中で強光照射すると、タバコ葉は24時間後には褐変化するが、MSOやINH(isonicotinic acid hydrazide;glycine decarboxylase complexとaminotransferaseの阻害剤)存在下で光呼吸経路を止めると、わずか5時間で褐変化する。このことは光呼吸経路の回転により光傷害が起きにくくなっていることを示している。 2)上述の方法でいくつかの植物の光傷害の受け易さを比較すると、カボチャ・トマトは強光に相当強いこと、キュウリ・レタス・ミツバは極めて弱いこと、タバコ・インゲンマメはそれらの中間であること、が分かった。これらの植物は光呼吸経路を止めると、いずれも4〜5時間で褐変化するので、強光に対する強さは光呼吸系の活性に対応していると考えられる。 3)上記植物葉のGS2含量をウエスタン法で比較すると、カボチャ・トマトではGS2量が極めて多いこと、キュウリ・レタス・ミツバでは極くわずかしか含まれていないこと、タバコ・インゲンマメはそれらの中間であること、が分かった。すなわち、これらの植物では、GS2量と光呼吸活性と強光耐性との間に明瞭な相関があることが分かる。 4)35S,ダブル35S,rbcSのプロモーターにイネGS2cDNAを連結してタバコに遺伝子導入し、得られた形質転換植物の種子から発芽した植物についてGS2量を比較すると、ダブル35Sプロモーターのものが最もGS2量が高かった。この植物について強光照射実験を行うと、GS2量の高い植物は対照区のものと比較して、明らかな耐性を示した。
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