研究課題/領域番号 |
05267204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中尾 光之 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (20172265)
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研究分担者 |
水谷 好成 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (40183959)
山本 光璋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40004618)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 準安定性 / 徐波睡眠 / 逆説睡眠 / 1 / 5スペクトル / 神経回路網モデル / 大域的抑制 / アトラクタ / 夢見 |
研究概要 |
我々はネコの脳内単一ニューロン活動が睡眠サイクルの各意識状態において異なったダイナミクスを示すことを明らかにした。即ち、徐波睡眠(SWS)時には単一ニューロン活動が0.01-1.0Hzの低周波帯域において平坦なパワースペクトル密度(PSD)を呈し、夢見の睡眠である逆説睡眠時(PS)にはニューロン活動のPSDは同帯域で周波数に逆比例する様な(1/f様と呼ばれる)構造を示す。本研究では、この生理学的現象の生成メカニズムの解明のために、状態空間における神経回路網の振舞いを解析した。我々が用いた神経回路網モデルはHopfield型の回路網に大域的な抑制と正規白色ノイズを加えたものである。シミュレーション結果から、弱抑制時に顕在化していた準安定な平衡点が抑制入力の増大によって不安定化すると同時に、"0"状態が大域的なアトラクタとして顕在化するような回路網アトラクタの幾何学的な構造の変化が単一ニューロン活動の遷移現象を引き起こしている可能性が示唆された。また、各準安定平衡点の滞在時間の分布は指数分布となった。理論的な知見から、分布の指数は、各準安定状態を囲む最も低いポテンシャルの壁の高さに対応するものであることが示唆される。従って、滞在時間の分布は準安定な性質が顕在化する弱抑制時の回路網アトラクタの幾何学的な構造を間接的に表していると考えられる。以上の結果から、PS時に対応する弱抑制状態においては、神経回路網は準安定平衡点を想起しながら状態遷移し続けることになる。これは「夢見」と類似した現象であるとも考えられる。このようなネットワークの準安定性が何らかのかたちで脳の高次機能に関わっているとすると興味深い。 結果の一部は"A network attractor-based interpretation of neuronal dynamics transition during sleep cycle"としてBiological Cyberneticsに投稿中である。
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