研究課題/領域番号 |
05267211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 浩一 東京大学, 医学部(医), 助手 (60157857)
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研究分担者 |
今泉 敏 東京大学, 医学部(医), 助教授 (80122018)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | セキセイインコ / 話者識別 / 種特異的音声 / contact call / field L / 前脳第一次聴覚領 / 単一ユニット記録 / オペラント条件付け |
研究概要 |
1 カメラモニターを置いた防音室内に、オペラント条件付け心理実験装置を作成し、セキセイインコに音が同じであるかどうかを判別させ、反応時間から知覚空間内での各音の相対位置を推定した。いろいろな周波数の音で調べると、周波数情報は知覚空間に螺旋状に表現されていた。しかし、倍音が必ずしも螺旋を一回転した位置に現われず、セキセイインコの鳴き声が比較的倍音に乏しいことと対応している可能性がある。 2 前脳第一次聴覚領のfield Lから微小電極による細胞外単一ユニットを記録し、周波数の同調特性を調べると、二峰性の反応を示すユニットがしばしば見られた。二峰のピーク周波数は倍音の関係にならないことも多かったので、行動との対応が興味深い。 3 セキセイインコのcontact callをデジタル変換して計算機のハードディスクに取り込み、類似度を計算しクラスタ分析すると、定説とは異なり、一個体のcontact callは2種以上あることが判明した。一個体からの複数種類のcontact callを心理実験にかけると、鳴き声の知覚空間内の相対的な位置は発信者自身と他の鳥とで異なっており、自身の声が脳内で特別な処理を受けていることが推測された。 4 神経活動の記録からは、自身の声と仲間の声に対して選択性のあるユニットの割合は、ほぼ半数ずつであった。神経活動の記録からも、自身の声が他の鳥より大きく脳内に表現されているようである。鳴き声に選択性の高いユニットはfield LではL2以外の層に局在し、階層的な情報処理が行われている可能性が高い。反応を惹起する音の物理特性は、興奮周波数と抑制周波数の組み合わせ等で説明できるものもあるが、それを見い出すことが困難な複雑なユニットも存在した。一部を無音化した鳴き声に対しての選択性の高いユニットの活動パタンが、心理実験の結果に類似することがしばしばあった。今後、神経活動と行動の因果関係を、脳傷害法や微小電気刺激法等を継続して追究する。
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