研究課題/領域番号 |
05267213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
山口 陽子 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (00158122)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 海馬 / 陳述記憶 / 近時記憶 / シータリズム / 神経回路 / 神経振動子 / 同期 / 引き込み |
研究概要 |
海馬が担う記憶は、陳述記憶や空間認知に関連しており時間的には近時記憶であるとされ、外来シグナルに対して主体的な編集を伴う記憶形成の問題となっている。本研究では、このような海馬固有の関係性としての記憶生成機能を、知覚情報と内的情報の相互循環的な作用として捉え、次のような作業仮説を導入した。 1)海馬では少なくとも2種の情報をリアルタイムに関係を付けていくことが必須の機能である。その一つは種に知覚に関連したマルチモードの「知覚」情報、他は動機付けやコンテキストや内的状態に依存した「仮説」情報である。 2)これら2種の情報は海馬神経回路はシータリズムの集合的な同期性に依存してリアルタイムに関係的に統合または分離される。 1)と2)より、「仮説」と「知覚」の2種の情報がシータリズムの同期/脱同期によって統合分離される情報処理過程のモデルを構築し、情報処理機能をしらべるのが本研究の目的である。振動神経ユニットの記述のために、神経活動とその相互作用方式について新たな位相記述方程式を提案した。この方程式は、神経振動子の数学的記述としては最も簡単なものでありながら、神経固有のさまざまな性質を再現でき、さらに複雑な回路を組む上で解析上便宜的な性質を持つ。海馬体神経回路のリズムの基本的な性質としては、シータリズムに2種のパターンがあることが実験的に知られているが、モデル神経回路においても、まずこれら2種のパターンを再現できた。この神経記述を基本として、回路内シータリズムのタイプI、IIにより神経回路上での処理機能が大きく変化することを示し、さらに1)近時性を有する情報の統合、2)獲得された仮説情報の新奇な状況での適用について、それぞれに必要とされる基本回路を示した。これらの情報処理様式について検討を進めている。
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