研究課題/領域番号 |
05267219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
板東 武彦 新潟大学, 医学部, 教授 (50029534)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1993年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 大脳 / 視覚連合領 / 眼球運動 / 運動制御 / 神経生理学 / 近見反応 / 焦点調節 / 輻輳 |
研究概要 |
本研究は大脳視覚連合領(LS皮質)が近見反応に果たす役割を通じ、当領域の階層的情報処理を分析する研究の一部である。近見反応は輻輳眼球運動・焦点調節・瞳孔縮小を要素運動とする大脳性複合運動であり、その間の連関は適応的に変化する。動物(ネコ)は予め麻酔下で手術を行い、無痛的頭部固定用アダプタ・眼球運動測定用アイコイル・電極用チェンバーを装着した。実験は覚醒状態で行い、眼球運動は磁気サーチコイル法、屈折力は赤外線オプトメータにより測定した。動物はコンピュータ制御下に接近する視標に対し輻輳運動を行うよう訓練した。ニューロン活動・脳内微小刺激等は通常の方法で行った。 LS皮質中心視領域ニューロンの約3%は、その活動が輻輳運動・焦点調節の大きさ・速度と相関し、2群に分れた。I群活動は輻輳運動と相関し、焦点調節とは有意な相関を示さなかった。II群活動は焦点調節と相関し、且つ視標速度が速い場合に、輻輳運動と有意に相関した。従ってI群は輻輳運動関連ニューロン、II群は焦点調節関連で且つ視標速度が速い場合に焦点調節・輻輳運動間の連関に役割を果たすニューロンと結論した。 次にLS皮質の局所破壊を行い、その結果脱落する機能について調べた。後内側部LS皮質を電気凝固法により両側性に破壊した。破壊後(4匹)、視覚的に輻輳運動・焦点調節を誘発すると、速く大きい運動が有意に減少したが、遅く小さい輻輳運動・焦点調節は残存した。 以上の結果および既知の研究結果から、LS皮質は視覚対象の3次元空間内での動きについて視覚情報処理を行い、とくに速い視標運動に際して、脳幹の輻輳運動制御系・焦点調節制御系に促進的な信号を出力、迅速で正確な眼球運動・焦点調節を可能とすることが示された。
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