研究課題/領域番号 |
05267228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 伸郎 京都大学, 医学部, 助手 (10152729)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | シナプス可塑性 / LTP / LTD / カルシウム / 大脳皮質 |
研究概要 |
視覚皮質スライスにおいて細胞内記録をとり、向イオン性グルタミン酸受容体をAPVとCNQXによって阻害した状態で白質を高頻度刺激すると、シナプス電位の抑制されることを見いだした。阻害薬を単に洗い流すだけではLTDは誘導されなかった。このLTDは、高頻度刺激に替えて、キスカル酸で代謝型グルタミン酸受容体を薬物的に刺激しても起こすことができた。しかし同じ代謝型アゴニストでもtACPDは無効であった。これから、この受容体のうちでも、特にmGluR1かmGluR5亜型の関与が強く示唆される。これらの亜型は「共役G蛋白質-イノシトール3燐酸(IP3)-細胞内小胞体からのCa2+放出」という経路で細胞内Ca2+を増加させることが知られている。この経路を遮断する目的で、G蛋白質阻害剤のGDPベータSを細胞内注入した。この注入自体では、シナプス電位に変化はなかった。向イオン性受容体をAPVとCNQXで抑えて高頻度刺激したところ、本来起こるはずのLTDは起こらなかった。またヘパリンでIP3受容体を抑えた場合でも、LTDは阻害された。ところが、どちらの場合も、細胞内電位を高めて細胞外Ca2+が流入しやすい条件にしてやると、今度はLTPが導入されたのである。この結果は、同じ細胞内Ca2+上昇であっても、細胞外から流入するか、細胞内小胞体から放出されるかでは意味が異なり、前者はLTPに後者はLTDへと導くことを示唆する。この場合でも、Ca2+流入における経路の違いが、Ca2+の時空分布の違いに反映し、異なったCa2+依存性酵素群を様々な程度に活性化して、シナプス可塑性を正反対の方向に調節すると考えれば矛盾なく理解できる。
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