研究課題/領域番号 |
05267239
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
中村 清実 富山県立大学, 工学部, 助教授 (20143860)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 空間作動記憶 / 空間参照記憶 / 海馬 / 頭頂連合野 / 微動電極法 / ニューロン活動 / 回転移動装置 / 方向弁別遅延見本合わせ学習課題 |
研究概要 |
脳の中でも空間記憶に関しては頭頂連合野から海馬への情報変換が重要であり、海馬では空間情報と非空間情報が統合されると考えられている。また、海馬は特に記憶の初期形成過程に重要であり、空間的な長期記憶(あるいは地図)は、頭頂連合野に形成されるという仮説が有力である。しかしこれらの仮説を検証するための神経生理学的な研究はきわめて少ない。本研究では脳の空間記憶および識別機構の解明を目指し、平成5年度には当初の計画どうり、ラットの頭部を無痛で無麻酔下に固定し、移動および回転可能な特殊回転移動装置を試作した。さらに本装置の周囲空間に6個の聴覚刺激呈示装置を設置し刺激の空間的方向の記憶に関する方向弁別遅延見本合わせ学習課題(空間作動記憶学習課題)を開発した。また水平微動可能なタングステン記録電極を試験開発し、動きに伴う記録の不安定性の問題を解決した(微動電極法)。これらの計測技術を用いて、実際に方向弁別遅延見本合わせ学習課題遂行下ラットの海馬および頭頂連合野に微動電極を刺入し、空間記憶関連のニューロン活動を記録した。総数87個(頭頂連合野:57個及び海馬:30個)のニューロン活動を方向弁別遅延見本合わせ学習課題遂行下ラットから記録し、空間作動記憶関連応答性を解析した。水平微動電極の卓越した特殊性能により、記録に際して思いもかけず、海馬背側の後頭頂連合野に音の方向弁別遅延見本合わせ学習課題の遅延期間に有意の反応性を示す空間作動記憶関連ニューロンの存在が示された。しかし現在までのところ海馬内には空間識別ニューロンはあるが、遅延期間に有意な応答性を示すニューロンは見つかっていない。この要因としては、新奇な刺激ではなく、よく聞き慣れた音刺激を用いたことによる可能性が考えられる。一方、ラットの向きを変えるという新奇な状況下で頭頂連合野の空間作動記憶関連ニューロンの応答は増強され、海馬では遅延期間に有意な応答性を示すニューロンが出現した。これらの結果は、上記の空間記憶神経機構に関する仮説を支持し、今後の研究においては特に用いる刺激の新奇性を考慮し、海馬ニューラルネット及び頭頂連合野ニューロンの視覚性および聴覚性方向弁別遅延見本合わせ学習課題に対する応答性の比較検討が重要であることを示唆する。さらに理論的には、上記の神経生理学的知見を基にして、物体の位置検出にもとずき物体を認識できる新しい人工ニューラルネット構造をプレリミナリーではあるが開発することに成功した。これらの成果は、ヒトや動物の脳に近い処理様式をもった新しいニューロコンピュータ開発のための糸口となることが予想され、実験的および理論的研究を今後さらに強力に推進する必要がある。
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