研究課題/領域番号 |
05267250
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
黒田 洋一郎 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 副参事研究員 (30073084)
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研究分担者 |
関野 祐子 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 流動研究員 (70138866)
川原 正博 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (40224828)
市川 眞澄 東京都神経科学総合研究所, 解剖発生研究部門, 主事研究員 (20124414)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ニューロン回路 / 記憶 / 培養ニューロン / 時空間パターン / Synchronous oscillation / 大脳皮質 / 発火パターン / 高頻度刺激 |
研究概要 |
皮質ニューロンにおける同期した繰り返し発火、すなわち、synchronous oscillationは視覚などの情報処理や記憶にかかわるニューロン群で発見され、大きな注目を集めている。培養下で自己組織化された皮質ニューロン回路が、頻度こそやや低いが、同じようなsynchronousなoscillationの性質をもつ発火を自発的に生じることは大変に興味深い。 そこで、培養下で同期発火を繰り返しているニューロン群がHebbの提唱した閉回路で発火を継続するニューロン群(cell assemblyと彼は呼んだ)と同じく、記憶のニューロン回路の性質を示すのではないかと考え、この同期発火の時間的、空間的パターンが外部刺激で変化するかどうかの実験を行なった。 あらかじめ特定のニューロンが自発的に同期発火を繰り返しているニューロン回路網を含んだ培養ニューロン系を外部から高頻度刺激を10秒間行ない、刺激前と刺激中、刺激後の同期発火しているニューロンの発火の時間的、空間的パターンを、細胞内Ca濃度の変化を指標に、ビデオ画像をコンピューター解析して観察した。刺激前は同期発火に参加していなかったニューロンもフィールド刺激によって、ほとんどのニューロンが発火を起こし、しかも、刺激後は異なった発火パターンを示した。すなわち、かなりのニューロンが刺激後は同期発火に参加するように変化し、一部のニューロンは逆に同期発火に参加しなくなった。この刺激による変化は少なくとも刺激停止後30分間は持続した。また、同時に同期発火の頻度も刺激後上昇した。外部からの高頻度刺激により、ニューロン間のシナプス結合が変化し、発火の時間的空間的パターンが変化したものと考えられ、「刺激を培養下のニューロン群が回路として“記憶"した」といえるかもしれない。今後さらに詳細な検討が必要である。
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