研究概要 |
出芽酵母のCdc36の機能を研究してきた。遺伝学的に出芽酵母RCC1ホモログであるsrm1-1と二重変異を作成すると制限温度が著しく低下する事を見いだした。このことはCdc36とSrm1とが共通の制御機構にあることを示している。またcdc36変異を制限温度に上げ、増殖を停止させると細胞内の総RNA量が増加することも見いだした。同時にCDC36m-RNAの発現量が細胞内総RNA量と相関関係があることを強く示唆する結果を得た。この事実は従来から指摘されているsrm1変異で認められた事実の、ちょうど反対の結果である。近年Srm1が結合するsmall G蛋白のGDP-GTP交換反応を触媒することが明らかになったが、私はこの事実とCdc36のN末端にNF1,IRA1,IRA2,GAPと良く似た部位があることより、Cdc36にGAP活性があるのではないかと考えた。そこで大腸菌でCdc36を発現させウサギに免疫して抗Cdc36抗体を得た。抗体価の高い特異的抗体を得ることができた。その抗体を用いて出芽酵母のCdc36の発現を調べたところ、高発現系ではバンドが二本あったことより、何か修飾されていることが示唆されたが、野性株では明確な発現は検出できなかった。また得られた抗体で哺乳類細胞より抽出した全蛋白と反応させたところ、少なくとも二本のバンドがCdc36との競合により消失することがわかった。また大腸菌でSrm1,Gsp1,2の発現も成功した。さらにPCR法でランダムに点変異をCDC36に導入したCDC36点変異ライブラリーを作成した。現在SSCP法でほとんどすべてになにかしら点変異が導入されていることを確認した。
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