細胞周期におけるヌクレオチド除去修復活性の変動を解析する目的で、マウスFM3A細胞をnocodazoleでM期に同調後、解除して適当な時間培養したものをエルトリエーターで分画し、G1期の細胞を集めた。また、同様にFM3A細胞をaphidicolinでG1/S期境界に同調、及び解除することにより、エルトリエーター分画でS期とG2/M期の細胞を得た。これらの細胞より粗抽出液を調整し、無細胞修復系における活性を比較したところ、G2/M期の細胞抽出液がG1、及びS期の抽出液よりも2倍程度高い修復活性を示すことがわかった。さらに、マウスのcdc2キナーゼに変異を有するFM3A細胞の温度感受性突然変異株、tsFT210細胞を非許容温度でG2期に停止させたもの、及びこれをnocodazole存在下に許容温度に戻してM期に進めたものについて同様に修復活性を調べた。その結果、M期の細胞抽出液の方がG2期に停止した細胞抽出液よりも若干修復活性が高いという結果が得られた。現在、除去修復反応におけるcdc2キナーゼの関与、及び無細胞修復反応に伴う抽出液中のcdc2キナーゼの活性変動について検討中である。一方、哺乳類細胞のヌクレオチド除去修復自体に関与する因子を明らかにする目的で、C群色素性乾皮症の修復欠損を無細胞系で相補する蛋白質因子を同定し、その解析を進めているが、本年度においてはこの因子を構成する二種類のポリペプチドについてcDNAクローニングを行なった。
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