研究概要 |
ラットの膵ランゲルハンス島(ラ氏島)からcDNAを合成し、rab familyで保存されている領域をもとに作成したプライマーを用いてpolymerase chain reaction(PCR)によりcDNAを増幅た。そしてその塩基配列を決定した。その結果、ラットラ氏島にはrab 3A,8,10のmRNAの発現が認められた。最近、rab 3Aの標的蛋白であるrabphilin-3AのcDNAがShiratakiらによって単離されたが、rabphilin-3Aには、分泌顆粒蛋白であるsynaptotagminと同様に、protein kinase CのCa^<2+>結合領域(C2ドメイン)の繰り返し配列が存在し、Ca^<2+>依存性の開口放出に関与している可能性が示唆されている。そこでrabphilin-3Aとsynaptotagminに共通なアミノ酸配列をもとにオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、ラット脳RNAより作成したcDNAを用いてPCRを行った。増幅したDNAの塩基配列により、synaptotagminの新たなサブタイプと思われる蛋白をコードする部分cDNAが得られた。次に部分cDNAでプローブとしてラット脳cDNAライブラリーより全長のcDNAを単離した。このcDNAによってコードされる蛋白は588個のアミノ酸からなり、すでに報告されているSynaptotagmin I,IIとそれぞれ41%、38%のアミノ酸の同一性を示し、Synaptotagmin IIIと命名した(Mizuta,M.et al. JBC.1994 in press)。このSynaptotagmin IIIのmRNAはSynaptotagmin I,IIと異なり、ラット膵ラ氏島を初め種々の内分泌組織や内分泌細胞由来の細胞株に発現が認められた。
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