研究課題/領域番号 |
05271208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
馬渕 一誠 東京大学, 教養学部, 教授 (40012520)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 低分子量G蛋白質 / rho / C3酵素 / 細胞質分裂 / 収縮環 / アクチン繊維 / ウニ卵 / ADP-リボシル化 |
研究概要 |
細胞質分裂は分裂溝に形成される収縮環の収縮によっておこる。収縮環はアクチン繊維を主構成成分とし、ミオシンとの相互作用によって収縮することが分かっている。この構造の形成と収縮のメカニズムはよく分かっていない。最近、低分子量Gタンパク質の一つrhoが培養細胞のストレスファイバーの形成に関わるということが報告された。そこで私達は収縮環の形成にrhoが関与するかどうかを検討した。 細胞質分裂におけるrhoの役割を研究する手段として、ボツリヌス菌の菌体外酵素の一つであるC3酵素がrhoをADP-リボシル化してこれを不活性化するという性質を利用した。核分裂前中期〜後期のウニ卵にC3酵素をマイクロインジェクトしたところ細胞質分裂は全くおこらず、核分裂のみ正常に進行して多核の胚に発生した。また、細胞質分裂中の卵にC3酵素を注入すると分裂溝は元に戻ってしまい、同じように核分裂のみが進行して卵は多核の胚に発生した。これらC3酵素注入卵のアクチン繊維をローダミンファロイジンによる蛍光染色で観察したところ、収縮環が形成されているべき部位、あるいは収縮環が存在していた部位からアクチン繊維が欠失していた。また、単離分裂溝中のC3酵素のターゲットをin vitro実験で調べたところ、rhoAのみがターゲットであることが確認された。これらのことからrhoが分裂シグナル伝達ならびに収縮環の構造維持に働いている可能性が強く示唆された。一方、受精直後の卵では細胞表層にアクチン細胞骨格が形成される。この過程にもrhoが関与しているかどうかを、C3酵素のマイクロインジェクションにより検討したが、この過程には関与していないと結論された。従って卵細胞内におけるrhoの働きは、収縮環アクチン繊維の組織化に限られることが分かった。
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