研究課題/領域番号 |
05272229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
小幡 裕一 愛知県がんセンター, 免疫学部, 室長 (30177290)
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研究分担者 |
土井 了 愛知県がんセンター, 免疫学部, 研究員 (60227684)
高橋 利忠 愛知県がんセンター, 副所長 (00124529)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | マウスTL抗原 / MHCクラスI抗原 / 抗原提示 / 細胞傷害性T細胞 / T細胞リセプター / 遺伝的多型 |
研究概要 |
ヒト及びマウスには、典型的MHCクラスI抗原(HLA-A,H-2K等)に加えて、非典型的MHCクラスI抗原が多数存在する。本研究の目的は、マウスTL抗原に結合する抗原ペプチドならびに認識するTCRの解析を中心に、非典型的MHCクラスI抗原の機能を分子、細胞並びに個体レベルで解明することである。今年度は、以下の成果が得られた。 1.MHCクラスI分子としてのTL抗原:H-2K^b遺伝子のプロモターとTL(T3^b)遺伝子を結合したキメラ遺伝子を導入したマウス(宿主:C3H)は、TL抗原を皮膚を含めた種々の組織に発現する。このマウスの皮膚をC3Hへ移植すると、短期間で拒絶され、TL抗原に対するCTLが誘導される。CTLは、H-2分子による抗原提示を必要せず、TCRがTL抗原を直接認識すること、またTL抗原が典型的MHCクラスI分子と同様に抗原提示できることが示唆された。 2.胸腺に発現するTL抗原の役割:上記と同様に遺伝子導入マウスの皮膚を、胸腺にTL(Tla^a-3)を発現するマウスに移植した。皮膚に発現するTLと胸腺に発現するTLの間では、31個のアミノ酸の差異があり、移植片は拒絶された。誘導されたCTLもH-2非拘束性であり、TCRがTLを直接認識するが、樹立したCTLクローンの25%は、TCRgammadeltaであった。一方、胸腺にTL抗原を発現しないC3Hマウスから樹立した上記のCTLクローンは、100%がTCRalphabetaであった。したがって、胸腺でのTL抗原の発現が、gammadeltaT細胞の選択に関与していることが示唆された。 3.非典型的MHCクラスI抗原の遺伝的多型:7種のTL遺伝子の多型の解析により、抗原ペプチドと結合してTCRに提示する領域(PBR)の配列は1ケ所を除いて同一であり、多型はPBR以外の所に存在することが明らかになった。この結果は、特定のペプチドを特定のTCRへ提示することが、TL抗原の機能であることを示唆するものであった。さらに、塩基配列とアミノ酸の置換パターンの理論進化学的解析結果からも、この仮説は支持された。
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